フランス人が東京で考えた。-働き方・休み方-

フランス語会話学校エコールサンパのスタッフがライフスタイル、日本での生活を通して考えたことを、サンパに(sympa: 好意的に)本音で語ります。

フランスの教育 日本の教育

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フランス語圏の同僚と仕事をしていると、受けてきた教育の違いを感じます。羨ましい点もありますし、これまで気づかなかった、日本の教育の良さに気づくこともあります。

特にいいなと思う点が2つあります。
一つは子供の頃からプレゼンスキルを鍛える機会に恵まれていることです。学校で何かを調べて発表する機会が豊富にあります。文章で伝える訓練も小学校の頃から積んでいます。日本の小学校にも書く機会はありますが、どちらかというと感想文的な内容が多いように思います。一方、フランスは内容を要約して論理的に伝える訓練が中心のようです。ミーティングの場で素早く反応し、論理的に自分の意見をまとめて、説得力のある説明の仕方ができる人が多いのは、こういう訓練を小さい頃から積んでいるからだろうと思います。

もう一つは、正解や偏差値よりも、プロセスや自分なりの意見が尊重される点です。フランスに住んでいた頃、バスの中で中学生や高校生の会話をよく盗み聞きしていました。「あの教科のあそこが私、まだよく分かっていないのよ」「ここをもっとしっかり勉強しなくちゃ」などなど、ほとんどのケースがプロセス重視のマイペース型でした。「数学の点数どうだった?」「英語は?」「全教科の平均点、私より〇点上か」的な、結果重視の偏差値型な会話は聞いたことがありませんでした。

また大学の授業を聴講していた頃、1年生のゼミでの発表で、私がみて完璧だった、ある学生の発表を、先生が散々にこき下ろしました。「あなた自身の視点がない。全部調べればどこかに書いてあることばかりしゃないか」というのです。模範的に思える内容がここまでこき下ろされるとは衝撃でした。

学校の先生や親の教育が、正解と結果と偏差値を重視していれば、バスの中での中高生の話は、こうはならないはずです。クラスメイトにここまで自己開示できるということは、学校の成績に左右されない、自己肯定感があるからだと思います。大学で模範的な回答より自分の意見が期待されるなんて、それこそ自己を確立する絶好のチャンスです。

改めて気づいた日本の教育の良い点もあります。まず一番に思い浮かぶのは、学校が学問を教わるだけの場ではないという点です。部活や学校のイベントにも力を注ぐ学校がたくさんあります。勉強以外の経験を通じて人間的に成長するチャンスですし、チームで何かをやり遂げること、集団の中で自分を最大限に発揮する経験を、社会に出る前に積むことができます。生涯の友や恩師とのつながりなど、一生の財産を得る人も多いでしょう。先生の存在も違います。フランスの先生は、学問を教える存在です。映画「奇蹟の教室-受け継ぐ者たち」のように、生徒の人生を大きく変えるような存在は、ごくわずかではないでしょうか。「夜回り先生」のような人はフランスにもいるのでしょうか。多分いないと思います。

「正解より自分なりの意見を表明していい教育」にも弊害はあると思います。一般市民と観光客に多大な迷惑をかけるストを、あれだけ大規模に遂行できる大人があんなにいるのは、教育のせいかもしれません。そう考えると、リーダーにとっては、日本の教育を受けた社員のほうが、はるかに管理しやすいのではないかと思います。いいことかどうかは分かりませんが。

(Yoko T)