フランス人が東京で考えた。-働き方・休み方-

フランス語会話学校エコールサンパのスタッフがライフスタイル、日本での生活を通して考えたことを、サンパに(sympa: 好意的に)本音で語ります。

部下にバカンスを取らせる

 

 

近々ヨーロッパを旅行する友人が、旅の計画について話してくれました。行先はパリ、リヨン、バルセロナ、マドリッド。そんなにたくさん回るんだ!さぞかし長い旅なのだろうと思って日数を聞くと、1週間とのこと。見どころだらけのヨーロッパ主要都市を、どうやってそんな日数で回りきるのか、どんなスケジュールで動くのか、不思議に思いました。なぜたった1週間?とも思いました。日本の会社の有休休暇はもっと多くて、もっと長く休めるはず。そう伝えると彼は残念そうに言いました。「僕の勤め先では8日以上の連続休暇は無理なんだよ。」

 

さらに質問攻めにして、いろんなことが分かりました。上司から水面下でのプレッシャーがかかること。2週間休めるとはいえ、日本企業では一般的に社員はできるだけ仕事に精を出すのが望ましいとみなされていること。上司や同僚はチームメンバーの休暇を快く思わないこと。勤務態度が悪いととられる恐れもある。休みのあいだ同僚に仕事を押しつけることになる。休暇のあと職場に戻れば不機嫌な顔で上司が待ち構えているかも。それを見ると罪悪感を感じる。そんなことを彼は語ってくれました。

 

正直その話は腑に落ちませんでした。休む権利があるのに休まないなんて、フランスではすごく奇妙なことです。同僚は性質の悪いジョークだと思うでしょう。休まず働く同僚がいたら私は心配です。なぜならその分疲れが蓄積されているわけです。つまり、仕事の結果も期待できそうにありません。集中力を維持できなければ、生産性も低くなります。

 

疲れた時にはアクセルを踏みっぱなしにしないほうが良いと思います。人には休みが必要です。それがあってこそクリエイティブでいられるし、集中できます。それに誰だって仕事以外の自由な時間が欲しいはずです。ヨガとかダンスとか、絵を描くとかフランス語を学ぶとか。好きなことに打ち込む時間が欲しいはずです。家族や友達、大好きな人と過ごす時間も必要です。そうしてリラックスして仕事に戻れば、新しいプロジェクトにとりかかる意欲満タン状態のはずです。

 

エコールサンパではスタッフ全員が2週間の連続休暇を取得できます。日本人もフランス人も、何の支障もなく取れます。これを最大限に使ってフランスへ行けます。海外に行けば時差がありますから、短い休暇では充分リラックスできません。でも2週間もあれば十分満喫できます。全員に平等にこの権利があるので、あなたが休暇後職場に戻って来ても、人殺しのような目で見る人は誰もいません。

 

11月にMisaが2週間の休暇を取りました。その間ほとんど私がその分をカバーしました。普段やらない業務ですが、マネージャーとしてやるべき任務です。休暇に入る前に準備したので、いない間も特に問題ありませんでした。休みが彼女のためになることは知っていました。案の定2週間のフランス旅行から戻ってきた時、彼女は旅立つ前より元気になっていました。充分にリフレッシュして満ち足りた表情でした。私達との再会の時も嬉しそうでした。不機嫌な顔で迎えられる心配がなかったからだと思います。私達も嬉しかったです。バカンスを取った人はパワー満タンで職場に戻ってきます。新しいエネルギーはチーム全体に良い影響を及ぼします。そのためにはもちろん、彼女がストレスなく業務に戻れるよう、休暇中はチーム全体できっちりカバーしておかねばなりません。そしてもうすぐ次の人がバカンスを取る番です。彼らもまた、彼らのバカンスへと旅立ちます。彼らもまた充分にリラックスして、エネルギーに満ち溢れた状態で戻って来るのです。

(Benjamin V エコールサンパ表参道校)