フランス人が東京で考えた。-働き方・休み方-

フランス語会話学校エコールサンパのスタッフがライフスタイル、日本での生活を通して考えたことを、サンパに(sympa: 好意的に)本音で語ります。

フランスとも違う、ベルギーの哲学事情

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フランスでは高校で哲学を学びますが、ベルギーでは事情が少し異なります。

第一に、私達の国の歴史はフランスとは少し違います。フランスの教育には政教分離の考えが反映されていますが、私達の国はその点が違います。国や市町村の施設は宗教とは無関係ですが、社会には宗教的文化や習慣が存在します!宗教は排除されることなく、私達の生活に溶け込んでいます。私達は宗教を学ぶことはむしろ大切だと考えています。文化の一部でもあるからです。

第二に、ベルギーはフランス以上に多種多様の人々で構成された国です。私達の国には、じつにたくさんの共同体があり、それが小さな国の中で共存しています。人口は1200万人以下ですが、公用語は3つです。(フランス語、オランダ語、ドイツ語)首都ブリュッセルはもう、信じがたいパッチワークです!フラマン、ワロン、ブリュッセル人、そして様々な国籍の人々が共に暮らしています。

ですからダイバーシティ(多様性)がベルギー人にとってどれだけ大切か、想像がつくと思います。文化的に多様で、宗教的にも多様ですから、教育制度もやや複雑です。哲学系や語学系の授業は、さらに複雑です。

背景の説明はここまでにして、ここからは哲学の授業について話しましょう。

ベルギーでは初等教育から中等教育までの間、いわゆる哲学系の授業は6種類あり、その中から選択するしくみにです。6つのうち5つは宗教系の授業、残りの1つは道徳(宗教と無関係)の授業です。5つの宗教系授業とは、カトリックユダヤイスラムギリシャ正教プロテスタントです。最低でもどれか1つは取る必要があります。どれにするかは全くの自由。自分の成長に役立つ内容という観点で、選択できます。

宗教系授業では、選択した宗教に関することを学びます。道徳(宗教と無関係)の授業内容は、おそらくフランスの哲学の授業と似ていると思います。様々なテーマについて議論し、(人種差別主義、性について、死についてなど)、そこで意見を出しあい、討議することを学び、善悪について考えます。その次の段階で、哲学や歴史の批評を学びます。私は精神分析の歴史とフェミニズムも少し学びました。それらを教える先生が素晴らしかったからです。

現行の制度の改革案がでていると、何かの記事で読みました。学校の授業から宗教的な内容を排除しようという声があるそうです。幸い、この考えの人は少数派ですが、もしその方向に進んだら、それはとても残念なことです。なぜなら、今の世の中に蔓延している過激な問題を避けるために、大切なのは違う宗教の人を受け入れること、お互い話し合うこと、「共に生きる」ことを推進し続けることだと思うのです。

今日私達が生きているグローバル社会では、お互いの違うところも含めて受け入れ合う力が試されます。私はこの多様な文化が混ざり合う環境で成長し、異文化の中で共存する能力を身につけられたことに、感謝しています。

 

(Nadia B)
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